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技術開発

地絡電流抑制装置

電気火災の危険性を低減させるため、地絡事故発生時にのみB種接地工事に高抵抗を挿入することにより地絡電流を抑制する装置です。

1. 背景・目的
地絡電流抑制装置

(1) 自家用電気工作物の低圧側地絡保護に用いられる漏電遮断器は、設置された回路で地絡事故が発生した場合に電路を遮断し電気災害を防ぐ役割を担っていますが、コスト等の関係上すべての回路に設置されているわけではなく、漏電遮断器が未設置の回路では地絡事故による電気災害が起きる可能性があります。

(2) 一方、絶縁監視装置や漏電火災警報器は、設置された電路で地絡事故が発生した場合に警報で知らせ電気災害を防ぐ役割をしていますが、漏電遮断器とは異なり電路を遮断する機能がないため、地絡事故原因が取り除かれるまで地絡電流が流れ続け電気災害が起きる可能性があります。

(3) 本地絡電流抑制装置は、自家用電気工作物の低圧地絡事故時の地絡電流を抑制し、電気火災の危険性を低減させることを目的としています。

2. 装置の概要

(1) 地絡電流抑制装置(以下「本装置」という。)は、現在多く使用されている低圧電路の一端子にB種接地工事を施した変圧器を活用し、地絡事故時のみB種接地工事に高抵抗を挿入して地絡電流を抑制させ、事故復旧後は元の状態に戻し電路の安全を保つ機能を有しています。

(2) 本装置の動作概要図を下図に示します。

① 本装置は、B種接地工事にスイッチ、電流制限抵抗、電圧制限素子が並列挿入されており、通常時はスイッチに電流が流れているのに対し、地絡事故が発生すると絶縁監視装置が作動して地絡電流抑制装置のスイッチに開放指令を出し、地絡電流が電流制限抵抗を流れることより抑制されます。

② 絶縁監視装置が地絡電流抑制装置のスイッチの作動を当協会設置のサーバーに警報送信することにより、警報を受けた当協会職員が現地に出向き地絡発生箇所を探査し改修・復旧します。

③ 地絡事故の発生から電流抑制までの時間は短時間のため、電気災害のリスクが大幅に低減するとともに、当該回路に接続されている電気機器の使用も継続可能となり、2次災害・被害の発生も防止できます。 また、発生頻度はごく僅かですが変圧器の高低圧混触事故が発生した場合には、電圧制限素子が動作し、低圧電路の対地電位上昇を技術基準における要求以下(自家用構内に高圧地絡事故が発生した場合は0.2秒以下で動作する地絡継電器が設置されていることを考慮し600V以下)に抑制し、低圧電路や機器を保護する機能を有しています。

④ 本装置は、技術基準適合が義務付けられているB種接地工事の変更に関わるものであり、平成24年度技術基準適合評価委員会において、技術基準に適合しているとの評価をいただきました。