電気のお役立ち情報
電気事故事例集
変圧器のケーブル接続状況確認中での感電負傷事故
- 事故発生の事業所の概要
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- 受電電圧:66kV
- 受電電力:13000kW
- 業種:製造
- 主任技術者選任形態:専任
- 被害状況等
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- 事故発生電気工作物:試験用発電機の励磁変圧器(3kV)
- 被災者:作業者、40歳、男性、第1種電気工事士、電気工事経験年数17年
- 感電負傷(入院・5日間)【右大腿部に通電によると考えられる皮膚の壊死(えし)、発赤(ほっせき)、腫脹(しゅちょう)、疼痛(とうつう)】
- 事故の状況
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設備所管部門窓口担当者1名、施工業者担当者2名、施工業者の協力会社担当者1名(被災者)が高圧ケーブル更新工事の見積りを行うため昼休みに現地調査を実施していた。施工業者担当者は設備所管部門窓口担当者に試験用発電機用励磁変圧器の詳細を確認したい旨を伝え、設備所管部門窓口担当者は安全フェンスを開錠した。当該変圧器に移動し、銘板を確認したが、表面が老朽化していたため読み取れなかった。
このため、被災者は設備所管部門窓口担当者にケーブル接続状況を確認するため当該変圧器上部に登りたい旨を伝えた。設備所管部門窓口担当者は「昼休みなので停電している」と思いこみ、当該変圧器昇降用梯子に設置されている昇降防止扉の開錠を行った。
被災者は昇降用梯子を使用し、試験用発電機の励磁変圧器の上部に上がり、ケーブル接続部分を確認しようとしゃがみ込んだところ、当該変圧器の一時側(3300V)ブッシングに右膝が接触し感電した。
(被災者の服装:電気安全帽、安全靴、作業着(上下)、皮手袋)
- 事故原因
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- 同一区画内に電源系統の異なる機器があった。
- 当該変圧器の安全柵の高さが十分ではなかった。
- 点検用出入口を設けていなかった。
- 当該変圧器の充電状態が確認できなかった。
- 試験担当者が試験終了後に当該変圧器の電源を遮断しなかった。
- 検電と接地を行わなかった。
- 昼休みは停電していると思い込んでいた。
- 見積り作業は設備所管部門の「構内作業安全確認書」を作成する作業区分ではなかった。
- 設備所管部門長が試験担当者に見積り作業で現場に立ち入ることを伝えなかった。
- 再発防止対策
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- 隣接する充電部への接近を防止するために安全柵を設置する。
- 外部から充電部に接触しないように、当該変圧器の安全柵をかさ上げし、変圧器全体を覆うように改造する。
- 安全柵の点検用出入口を設けて施錠する。
- 当該変圧器の充電状態を表示するために安全柵に赤色回転灯を設置する。
- 当該変圧器の点検用出入口にインターロック用スイッチを取り付け、当該変圧器一次側の遮断器と連動させる。
- 手動操作による当該変圧器一次側遮断器の切り忘れを防止するため、試験終了時に自動開放するシステムに改善する。
- 電源遮断の確認、検電、接地を徹底する。
- 昼休み作業を禁止する。
- マニュアルの新規作成、一部改定を行う。
- 安全教育を実施する。